【リスクリワード】をどう設定しても期待値は動かなかった話

「利益はなるべく伸ばして、損は小さく切る(損小利大)」

FXで教わることの大事なひとつだと思います。

勝率にこだわるな、トータルで勝てばいい、損は傷が浅いうちに切れ、大きく負けると取り返すのに何倍もかかるぞ、っと(´ー`)

これを数字にして対応しようと言うのがリスクリワードで、損切り10pips・利食い20pipsなら1:2。
3回に1回勝てばトントンなので、勝率が低くてもトータル勝てるってな感じです。

では、この数字を変えていったら実際の勝率とかはどう動くのか(・∀・)
そしていちばん良い比率はどこなのか。

1:2か、1:3か、損切り幅が10pipsか50pipsか気になるところ。ってことで

損切り幅4通り × リスクリワード5通り、20通りを総当たりで数えてみました!
(
ドル円の20年分、1組み合わせにつき13万件。ユーロ円・豪ドル円・ポンドドルでも)

1. 今回は純粋なリスクリワードの効果を見てみる

勝率なんてものは手法・スタイル(スキャルやスイング)など様々な条件によって変わります。

今回はリスクリワードそのものの効果を見たいので、エントリーに関しては完全に機械的に計算したものを出しています・∀・

やり方はチャートも指標も関係なし、時計が1時間進むたびに、買いと売りを1回ずつ入れるだけの検証で、要はサイコロと同じです。

ここから損切り5銭・10銭・20銭・50銭、リスクリワード1:0.5・1:1・1:2・1:3・1:5で、どちらに先に届くかを数えました。

入り方を固定して、決済だけを動かして計測する。
これなら、動いた分はリスクリワードのせいだと言えるって感じです(´ー`)

※細かい条件は末尾の「検証条件」にも書いてます。

2. リスクリワード1:2にすると、勝率はきっちり33%になる

1:2→1:3→1:4と利食いを遠くに置いていくと、当然勝率は下がっていくはずですが、実際どれくらい下がるのか?

答えは「ちょうどトントンの数字まで」でした。

※トントンとは1:2なら、3回に1回勝てば「損切り2回で20pips失って、利食い1回で20pips取り返す」でプラマイゼロの意味、 その「3回に1回」が33.33%です。

リスクリワード、変えてもトントン

画像の灰色の線が、その比率でトントンになるのに必要な勝率で青い点が実際に数えた結果です。
細かい数字はこちら。

リスクリワード トントンに必要な勝率 実際の勝率
1:0.5 66.67% 66.72%
1:1 50.00% 50.00%
1:2 33.33% 33.22%
1:3 25.00% 24.95%
1:5 16.67% 16.84%

ずれが0.2ポイント以内で 上振れも下振れもしません。

損切り幅を5pipsにしても、20pipsにしても、50pipsにしても同じ。ドル円だけの現象ではなくユーロ円でも豪ドル円でもポンドドルでも同じでした。

機械的にエントリーした場合、リスクリワードを1:2に決めた時点で勝率33%、1:0.5なら67%の勝率が手に入ります。

何かを上手くやった結果ではなく、設定した瞬間に決まる数字だったのです。

そしてどの比率でも同じで1:0.5も1:5も、損切り幅を変えてもトントンの数字ちょうどになる。

つまり、勝ちも負けもしないので「最良のリスクリワード設定」というものは存在しませんでした。

3. 期待値は1円も動かない

勝率がトントンの数字ちょうどということは期待値はゼロ、というかスプレッドを払うので、その分はマイナス。

リスクリワードの期待値

上の画像のどの点も、縦棒(偶然でもこのくらいはズレる範囲)を含めれば赤い破線にかかっています。

20銭と50銭は点が少し上に出ていますが、その程度のズレは偶然でも起きる範囲で、有利になったとは言えません(´ー`)

つまり、

リスクリワードの純粋な効果は、どう設定しても払ったスプレッドのぶんだけ負ける。 それ以上でも、それ以下でもない。

1:0.5だろうと1:5だろうと測った分は全部同じでした(・∀・)

リスクリワードは損小利大となる「1:2〜1:3が推奨」と言われてるし、ORZも自分のスタイル的にその辺がいいと考えてる派ですが、期待値の面では違いがありません。

4. 建値ストップは負けも減るが勝ちも減る

じゃあORZもよくやる「損切りを建値に動かす」の効果はどうだろうか?

含み益が出たら、損切りを建値(エントリーした値段)まで動かす。
これで「最悪でもプラマイゼロ」になる、という手法ですね(´ー`)

損切り20銭・利食い40銭(1:2)で、含み益が5銭・10銭・20銭出た時点で動かす3パターンを測りました。

建値決済の効果測定

(一応リスクリワードを1:1から1:5まで変えても、他4通貨を見ても結果は同じです。)

含み益5銭で動かすと、負けが66.5%から19.9%に減り、これは効果大!
かと思いきや勝ちも同じ分、33.5%から10.4%に減っています。

そして7割が「建値撤退」のプラスマイナスゼロで終わります。

減った負けと・逃した勝ちが、きれいに釣り合っている状態っすね(・∀・)期待値は4パターンとも−0.2銭前後で、動きませんでした。

「含み益が出たら建値に移動」は、リスクと一緒にリターンも同じだけ削っているということでした。

5. リスクリワードをいじると何が変わるのか

期待値が動かないなら、リスクリワードは何を決めているのか、次の3つがあります。

まず『勝率』は先ほど見てきた通りです。
1:0.5なら67%、1:5なら17%、とトントンで釣り合うように変わります。

トレード(ポジション保有)時間は大きく変わる

決着がつくまでの時間が次の表です(中央値)。

損切り 1:1 1:2 1:3
5銭 0.2時間 0.4時間 0.5時間
10銭 0.8時間 1.5時間 1.9時間
20銭 3.0時間 5.2時間 6.6時間
50銭 15.5時間 1.1日 1.4日

期待値は全部同じなのに、損切り幅まで含めれば待ち時間は10倍以上違くなるので、これは一考の余地がありますね(´ー`)

連敗の可能性

勝率が下がれば、連敗は長くなります。

勝率から計算した「100回トレードして、5連敗以上が1度でも起きる確率」です。

リスクリワード 勝率 100回で5連敗以上が起きる確率
1:0.5 66.7% 23.4%
1:1 50.0% 80.8%
1:2 33.2% 99.9%
1:3 25.0% 100%
1:5 16.8% 100%

1:3以上を選ぶと、100回のうちに5連敗が起きる確率はほぼ100%になります。

ここまで何が変わるのかを見てきましたが、期待値は動かないにも関わらずリスクリワード「1:0.5」と「1:5」では、勝率が4倍、待ち時間が約6倍、連敗の起きやすさは4倍違う。

1:0.5 1:5 倍率
勝率 66.7% 16.8% 4.0倍
待ち時間(損切り10銭) 0.4時間 2.3時間 5.8倍
5連敗の確率 23.4% 100% 4.3倍

つまり、期待値が同じなのにこうした”体験だけ”が変わるという訳です(・∀・)

6. 「勝率70%」だけでは強いか弱いか分からない

ここまでの話の通り、勝率だけでは強いか弱いかの判断ができません。

「勝率70%の手法」は数字だけ見れば一見強そうに聞こえますよね(´ー`)

でもリスクリワードを1:0.5に設定すれば、相場を見ずにエントリーしても67%にはなります。

逆に「勝率17%」も、リスクリワードを1:5に設定した状態なら普通の確率です。

よく見る数字 実際は
勝率70% 1:0.5なら、何もしなくても67%
勝率50% 1:1なら、何もしなくても50%
勝率33% 1:2なら、何もしなくても33%

勝率は、損益比とセットで見ないとアカンくてそれ単体だと何も言っていません。

なんか「勝率」が正義っぽい話はよく見かけるんですが、それは「勝率マジック」で、実際に勝てるか(資金が増えていくか)、その手法が優れているのかどうかは、分からないってことです・∀・

7. ゆーて損切り幅は相場に合わせたりするもの

ここまで、損切りを固定で見てきましたが、実際のトレードでは損切り幅を根拠から決めることが多いはずです。

トレンドラインからの押し目買いなら、ラインを割られたら損切り、みたいに決めたり。

直近安値の下、サポートの手前など。
基本的にはエントリーの根拠が崩れる場所に置く人が多い(はず)ので、20pipsで済む日もあれば70pips必要な日もあります。

スキャル・デイ・スイングとかでも全然違いますよね(´ー`)

「常に20pips」と固定する人も全然いますが。
ただその場合も、損切り幅とエントリーのタイミングが無関係になるわけではありません。

今回の検証は、その関係をわざと切っています。

エントリーはランダム、損切り幅は固定で両者に何の関係もない状態を作って測ってます。
だから損切り幅を変えても、エントリーの質は変わりません。

なので今回の結論は、

エントリーがランダムの場合、リスクリワードや建値ストップをいじっても期待値は動きませんでした。

ってことです。

決して「決済をいじっても無駄」っていう訳ではなくて、「優位性がない状態でリスクリワードだけをいじっても一緒」って話ですな(・∀・)

8. 優位性あることやってるかの答え合わせになり得る

エントリーを機械的にやって決済を測った結果は、裏返すと

リスクリワード比を変えて成績が動いたなら、あなたのエントリーはサイコロと同じではありません!ただ、動かなかったなら、もしかしたらサイコロと同じなのかも…。

てことが言えると思います。

今回測ったのは、ランダムエントリーでやった場合の基準線でしたが、これは自分の記録と比べられます。

やり方は簡単で、自分の平均利益と平均損失から損益比を出して、下の表と勝率を比較(・∀・)

自分の損益比 トントンに必要な勝率
1:0.5 66.7%
1:1 50.0%
1:2 33.3%
1:3 25.0%
1:5 16.7%

この数字を超えていれば、ランダムを上回っています。
ただし回数が少ないと、たまたま超えることもあり得るので数十回は計りたいところ。

しかもスプレッドがあるので、トントンの数字をちょうど超えただけではちょっと足りません。

損切り10銭でスプレッド0.2銭なら、勝率を約1ポイント上乗せして、ようやくトントン。

手法とかを決める場合は、これを上回るかが判断材料になるかもしれませんね(・∀・)

リスクリワードのお話まとめ

エントリーがランダムの場合、決済ルール(比率)だけをいじっても期待値は動きませんでした。

リスクリワード比を変えても・建値決済を使っても結果は同じで、払ったスプレッドの分だけ負けるという悲しき現実。

動いたのはトレードで体感すること3つだけです。
勝率と、待ち時間と、連敗の長さ(´ー`)

そして「損小利大」は、エントリーに優位性がある人が使う道具という言い方もできそうです。
優位性がない状態で損益比だけをいじっても、勝率が入れ替わるだけでしたからね!

リスクリワード今回の判定一覧

測った範囲:損切り5銭〜50銭、決着まで数分から1日。損切り1円以上は測っていません。

通説 結果
1:2なら勝率33%で勝てる 計算自体は正しい。ただし何もしなくても33%になる
1:2〜1:3が推奨 期待値の面では根拠なし。 1:0.5から1:5まで全部−0.2銭
1:1未満なら手法を見直すべき × 1:0.5も他と同じ期待値
極端な比率は損切りに引っかかりすぎる × 1:5でも勝率は16.84%。トントンの数字ちょうど
建値ストップでリスクを消せる △ 確かに負けは減るが、勝ちも同じだけ減る
勝率が高い手法は優れている × 1:0.5に設定すれば誰でも67%出る

損切り幅についての判定はしてませぬ

損切り幅の「狭いほうがよい」「広いほうがよい」は、スキャルとスイングとかで指す幅が違ってたりするので、一括りに判定はできてません(´ー`)

今回測った5〜50銭は、長期のスイングから見れば「全部狭い」ってなりますからね。

いちおう測れたことを2つだけ書いておきます。

測った範囲では、損切りが広いほうがわずかに有利でした。

損切り10pipsは4通貨ともトントンの数字を下回り、50pipsだと4通貨とも上回りました。

ただし差は0.05〜1.0ポイントと小さく、1通貨ずつ見れば偶然の範囲です。
4通貨すべてで同じ向きに出たことだけが確かで、それも5〜50銭の中での話です。

それとスプレッドの負担は、損切り幅に反比例します。
こちらは計算で決まるので、どの幅でも成り立ちます。

損切り スプレッド0.2銭が占める割合
5銭 4.0%
10銭 2.0%
50銭 0.4%
300銭(スイング想定) 0.07%

検証条件などなど

あい、今回のリスクリワードで色々測ってきましたが、その際の条件などなどを書いていくマニアックコーナーです(´ー`)

使ったデータ

項目 内容
銘柄 ドル円(USDJPY)/ ユーロ円(EURJPY)/ 豪ドル円(AUDJPY)/ ポンドドル(GBPUSD)
足・期間 1分足 2016/01/04 〜 2026/09/04(4通貨とも同一期間)
本数 各396〜397万本
出所 MT5エクスポート(bid、OHLC)

エントリーと判定

  • 1時間おきに機械的にエントリー。 相場は一切見ない。買いと売りを同じ時刻に別々に数える
  • 損切り幅Sと利食い幅T(=S×リスクリワード)を置き、どちらに先に到達するかで判定
  • 同じ足の中で両方に到達したものは除外(0.0〜0.5%)
  • 20営業日で決着しないものも除外(ほぼ0%。損切り50銭・1:5だけ5.16%あり、この組み合わせは参考外とした)
  • 期待値はスプレッド0.2銭(pips)を1回差し引いた値
  • 1組み合わせあたり約13万件

買いと売りを合算している理由

買いだけで測ると、その期間のトレンドが結果に混ざります。

実際、買いのみ・損切り100銭・1:1で数えたとき、勝率がトントンの数字を2.88ポイント上回りました。合算すると±0.00。

この差は「2016年から2026年にドル円が上昇した」というだけでした。

なお、リスクリワード1:1のときだけ、勝率は必ず50.00%になります。

損切りと利食いが同じ幅なので、買いと売りが同じ2本の線の間で競争するからで、上に先に触れれば買いの勝ち・売りの負け、下なら逆。

つまり必ず1勝1敗になります。

実際、損切り20銭で買いの勝ちが33,502件、売りの負けも33,502件。

相場が何をしようと50.00%になる数字なので、これがずれたら計算のどこかが壊れている、という確認に使えます。

誤差の出し方

1時間おきのエントリーは、取引期間が重なります(損切り50銭なら1件が数日続く)。

そのまま計算すると誤差が小さく出すぎるので、四半期ごとに勝率を出し、その散らばりから誤差を計算しました。

重なりが勝率そのものを歪めていないことは確認済みです。エントリー間隔を1時間・6時間・1日・5日に変えても、勝率は33.13〜33.70%でほぼ同じでした(損切り20銭・1:2)。

連敗の数字について

本文の「100回で5連敗以上」は、勝率から計算したシミュレーション(各2,000回)です。

実測の連敗回数は使っていません。
1時間おきのエントリーは重なっているので、同じ相場を何度も数えてしまい、実際より長い連敗が出るためです。

この検証でやっていないこと

  • エントリーに条件をつけた場合。「直近が上げていたら買いだけ」のような判断を入れていない。
    なので今回言えるのは「方向を当てる能力がゼロなら、決済をいじっても何も出ない」まで
  • スイングの損切り幅。5〜50銭までしか測っていない。50銭・1:5ですでに未決着が5%出ており、これ以上広げると20営業日で決着しないケースが増えて測れなくなる
  • トレール(追従型)。建値へ1回動かす形しか測っていない
  • 業者別のスプレッド。0.2銭で固定した
  • ロット調整・複利。1回あたりの損益(銭)だけを見ている
  • 待ち時間と連敗の4通貨確認。ドル円のみ
  • 相場の状況で決済位置を変えるやり方。 「根拠が崩れたら損切り」「抵抗帯に届いたら利確」のように、判断が入る決済は測っていません。 今回測ったのは、エントリー時点で位置が確定している固定のルールだけです。

csvデータ

今回の集計結果です。
記事に載せていない通貨・組み合わせも全部入っています。

rr_grid.csv(80行)── 4通貨 × 損切り4種 × リスクリワード5種
件数・勝率・トントンに必要な勝率・差・偶然のズレ幅・期待値・未決着率

※元の価格データはブローカーのヒストリカルデータなので、再配布はできません。

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