【スワップ生活】高金利通貨5種を検証したら1つだけヤバい結果に

「買っちゃおうか…高金利通貨!!」
そして毎日スワップがチャリンチャリン入ってくるのを夢見る(´ー`)

FXやってる中で一回は考えたことある人も多いと思います。

ただ実際にちゃんと「スワップ生活」ができてる人、あんま見かけないっすよね…。
どちらかというと為替差損に耐えきれず爆散!!みたいな方が目立ちます。

株の配当生活はちょこちょこいそうだけど、スワップは無理なのか?

ってことで代表的な高金利トルコリラ円・南アランド円・メキシコペソ円・豪ドル円とドル円の5つを、20年分のデータで色々みていきました!

結論から言うと、4つは意外とアリ判定。
1つだけ割と悲惨な結果になりました。

スワップポイントの計算をどうするか(前提の話)

実際のスワップポイントを計算しようとすると、業者によっても違うし、キャンペーンとかもあるし、データサクッと引っ張ってこれないしでどうしたものか。

てことで、まずは為替の下落を埋めるのに年利何%のスワップを受け取れていればプラスだったかを計算しています。(高金利ってことは通貨安になりやすい)

たとえばこれが5%なら、年5%以上のスワップがもらえていれば勝ち、それ以下なら負けです。

最初はスワップ抜きで為替差損益を見る

20年で計算していくと途中から円安に大きく動いています。

なのでそもそもスワップがゼロでも、対円で通貨を持ってるだけでも勝てた場面が多いはず。

それだと「スワップ生活」とは言えないてことで、スワップなしでも勝てた割合をまずは見てみましょう。

(買付日を1営業日ずつずらして、全部計算で出しました。)

通貨ペア 1年保有 3年 5年 10年
ドル円 53.2% 59.1% 71.0% 82.9%
豪ドル円 56.6% 52.6% 58.4% 46.4%
南アランド円 46.7% 33.3% 25.4% 8.7%
メキシコペソ円 49.9% 48.1% 55.5% 36.9%
トルコリラ円 12.4% 7.3% 0.0% 0.0%

思ったとおり、ドル円はバッチリ勝ててます。10年保有だと82.9%。

負けたのは2006〜2008年に買った場合だけで、それ以降に買った場合はすべてプラスでした(円安効果)。

そして何よりトルコリラ円だけ0.0%の数字が出ててやばい(´Д`)

5年保有なら2010年5月から2021年9月までのどの日に買っても、10年保有でも同じ。
1日の例外もなくマイナスでした。(円安よりもリラ安)

これを埋めるのに必要だった年利は、5年保有の真ん中で20.7%です。

スワップ有りだといくら儲かったのか

為替差損益はトルコリラがやばそうでしたが(何気にランドも)スワップありで巻き返せるか。
次は100万円を5年持ったらいくらになったか
を計算しました。

「その日に100万円ぶん買って、5年後に売る」を全営業日分計算して、その中央値です。

運よく底値で買えた場合でも、高値づかみした場合でもない、ごく標準的な結果って感じです(´ー`)

通貨ペア 為替損益 スワップ 合計 100万円が
メキシコペソ円 +4.0% +23.5% +27.8% 127.8万円
ドル円 +15.7% +5.5% +18.8% 118.8万円
豪ドル円 +4.5% +13.2% +16.2% 116.2万円
南アランド円 -15.5% +28.2% +10.8% 110.8万円
トルコリラ円 -65.1% +38.0% -24.1% 75.9万円

南アランド円は為替で15.5%負けてるのに、スワップ28.2%で逆転して110.8万円。
個人的にこれがスワップ投資のイメージに合いますね(・∀・)

メキシコペソ円が一番増えて127.8万円。
ドル円は普通に為替益、豪ドル円も素直に増えてます。

トルコリラ円だけ、スワップ38%もらっても75.9万円の着地。

(なお、ここで使ってる金利差は、各国の政策金利から日本の政策金利を引いた差です。実際のスワップは業者がマージンを抜くので、上の数字は一番よく見積もった場合。レバレッジ1倍、複利なしの計算です。)

トルコリラ円は、いつ買ってもダメだったのか

5年持ってプラスで終われたのは、全買付日のうち19.6%だけでした。
買った年で分けるとこうなります。

買った年 もらえた金利差 必要だった年利 プラスで終われた割合
2011 6.7% 5.1% 94.9%
2012 7.1% 6.2% 80.7%
2013〜2019 8〜19% 14〜27% すべて0.0%
2020 25.8% 28.5% 26.9%

2013年から2019年に買った場合は、1日の例外もなく負けです。

分かれ目は2012〜2014年。
この3年だけリラの下落が止まっていて(+19.7% / -0.2% / +6.5%)、ここを含む場合だとほぼプラスになりました。

2015年以降は毎年10〜37%落ち続けたので、金利差が上がっても厳しい。

トルコ中銀は2024年に政策金利を50%まで上げましたが、それでも十分に勝ち越せません。

そもそも持ち続けられたのか|スワポのロスカット問題

ここまでは理論上の話でしたが、実際には(強制)ロスカットという問題もあります。

てことで次の図は5年間ロスカットされずに保有できた割合です。

日々受け取るスワップを証拠金に加えた場合と、加えなかった場合の両方を出しました(この辺業者によって扱いが違うので)。

レバとロスカット

スワップを入れると、赤が減って生存率がマシになってます。

ただ、それでもトルコリラ円はレバレッジ3倍で41%。
レバ3倍+スワップを証拠金に含むで6割は途中で退場していますからね、なかなか厳しい世界です。

積立にしても解決しない

じゃあ一括じゃなくて積立、ドルコスト平均法的な買い方ならどうか。

100万円を60回に分けて、毎月末に買った場合です。条件は前の表と同じ5年保有・スワップ込み。

通貨ペア 一括 積立
メキシコペソ円 127.8万円 117.9万円
ドル円 118.8万円 112.2万円
豪ドル円 116.2万円 111.5万円
南アランド円 110.8万円 108.7万円
トルコリラ円 75.9万円 88.3万円

下がる通貨に対しては積立が効く、これは教科書どおりです(・∀・)

一応トルコリラ円は積立のほうが12万円マシでした。
安い時期に多く買えるので、平均取得単価が下がる分ですね。

それでも88.3万円で、元本割れなのは変わりません。

積立はダメージを軽くするだけで、下がり続ける通貨を完全には救ってはくれない、ということですね。

耐える対象がそもそも無い

結構ゾッとした数字が出た部分です。

「期間全体の騰落率をプラスにするには、最悪の何日を消せばいいか」を計算しました。

ドカンを避ければいいのか?の図

通貨ペア 実際の騰落率 必要な除外日数
メキシコペソ円 -17.9% 3日
南アランド円 -48.6% 6日
トルコリラ円 -94.4% 75日

南アランド円って48.6%も下げてるんですが、最悪の6日を消すだけでプラスに転じます。

つまり「稀に来るドカン」を避けられればプラスに持っていけるので、チャート見たりしてやりようは全然ありそう。

一方のトルコリラ円は75日必要で、最悪の50日を避けたとて-45.7%。

南アランド円やメキシコペソ円なら「ドカンに耐えられるか」の話になるんですが、トルコリラ円は耐える対象が無いんですよね。

毎日ちょっとずつ減っていくものに、耐えるという概念が使えない。
これ結構怖いっすよねぇ(´ー`)

スワップポイント生活の検証まとめ

ひとことで言うと

【夢のスワップ生活】って感じではなく、効率とか諸々見るとそんな夢ないなって…(´Д`)

まあでも色々見ましたが、トルコリラ円以外は『アリ』判定で良さそうではありますね。

ただしレバレッジ3倍まで。

レバレッジ3倍なら89〜99%で生存率が高い。
崩れるのはレバ5倍からです。

5倍で58〜79%、10倍だと23〜61%(´ー`)
スワップを増やそうとして倍率を上げると、それを受け取る前に退場する確率が上がります。

(ドル円はそもそも高金利通貨とは呼ばれませんが、比較のために入れています。増えた分の内訳は為替+15.7%・スワップ+5.5%で、ほぼ円安のおかげ)

今回の検証で言えることまとめ

  • ドル円・豪ドル円・南アランド円・メキシコペソ円は、5年保有で100万円が111〜128万円(真ん中の結果)
  • 南アランド円は為替で15.5%負けながらも、スワップ28%で逆転していた
  • トルコリラ円だけ100万が75.9万に減る。 5年保有でプラスに終われたのは19.6%だけ。2013〜2019年に買った場合は全滅
  • レバレッジ3倍で5年持てたのは、4通貨が89〜99%に対しトルコリラ円は41%
  • 積立にすると、トルコリラ円は75.9万円が88.3万円でちょいマシに。(ただし元本割れは変わらない

ここまでは見てないから何も言えない部分

  • これから買うべきかどうかはまでは分かりません。 測ったのは過去だけの話
  • 実際にいくら儲かったかも分かりません。スワップのデータがないので、あくまで「いくら必要だったか」の話中心です
  • 業者のマージンは計算に入ってません。実際のスワップ受取は、この記事の金利差より少なくなる可能性が高いです

おまけ:「もうリラ3円だし、これ以上下がらないでしょ」

トルコリラ円って今3.22円(2026/09)なんですよ。
で、こう思いませんでした?

あと3円しか下がりようがないんだから、90円台から落ちてた頃とは違うのでは?

これどうなのかなって調べたんですが、どうも同じっぽい。

なぜかというと、損失を決めるのは円の額じゃなくて変化率だからです。

例えば100万円分リラを買うとして。
90円のときは11,111リラ、3.22円の今なら310,559リラ買えます。

保有数量は28倍違う。
でもレートが半分になったときの評価額は、どちらも50万円です。

1単位あたりの下落幅も28分の1になるので、ぴったり相殺されちゃうんですよね。

つまり「あと3円しか下がらない」は「あと100%下がる余地がある」と同じこと。

年20%の下落が続いたとして、5年後に1.06円、10年後に0.35円、20年後に0.037円ってのは余裕であり得るわけです(´ー`)

ちなみにレートが下がって不利になることもあります。

スプレッドです。
業者が「1.7銭」のように銭で提示している場合、44円のころは建玉の0.04%でしたが、3.22円だと0.53%。

往復で1%を超えます。
同じ幅を取るのに、13倍のコストを払うことになるんですよね(´Д`)

ちなみに、実際に水準が下がって下落率は鈍ったのか。

当時の水準 その後1年の下落率
40〜60円 -8.4%
30〜40円 -14.6%
20〜30円 -22.3%
10〜20円 -21.5%
5〜10円 -23.2%
0〜5円 -14.5%

鈍るどころか、どちらかというと速くなってます。

ここが南アランド円やメキシコペソ円と決定的に違うところで、この2つは安い水準にいるとき、その後1年がプラスに転じてます(+8.2%、+8.8%)。

安くなれば戻る通貨です。
トルコリラ円だけ、どの水準でもマイナスでした。

トルコリラ円のチャート

ただし直近3年は緩やかです。
2021年-37%、2023年-32%に対して、2024年-6.9%、2025年-18.3%、2026年は8月までで-11.8%。

ただここは、水準のせいなのか局面のせいなのか判断できないところです。
(3円台にいたのは2023年12月からで、独立したデータが実質3年分もない。)

余談ですが、トルコは2005年に100万分の1のデノミをやってます。
額面を切り直しても下落は続いたという前例はあるんですよね(´ー`)

判定一覧

測ったこと 通説 実測 判定
5年保有で100万円が(メキシコペソ円) 増える 127.8万円 ○
同(ドル円) — 118.8万円 ○
同(豪ドル円) 増える 116.2万円 ○
同(南アランド円) 増える 110.8万円 ○
同(トルコリラ円) 増える 75.9万円(プラスで終われたのは19.6%) × 減る
3倍で5年持てたか(4通貨) — 89〜99%が生存 ○
同(トルコリラ円) — 41% × 6割が退場
積立で改善するか 改善 トルコリラ円は75.9→88.3万円。ただし元本割れ △ 軽減するだけ
水準が下がれば下落は鈍るか — 鈍っていない。直近3年は判定不能 ×/判定不能

検証条件

データ

MT5からエクスポートした5分足を日足に合成。営業日の区切りは日本時間7:00(NYクローズ区切り)。

通貨ペア 取得方法 期間 日数
ドル円 直接 2006-01-02〜2026-09-03 5,360
豪ドル円 直接 2006-01-02〜2026-09-03 5,303
南アランド円 USDJPY ÷ USDZAR 2006-01-13〜2026-09-03 5,179
メキシコペソ円 USDJPY ÷ USDMXN 2007-07-23〜2026-09-03 4,787
トルコリラ円 USDJPY ÷ USDTRY 2010-05-31〜2026-09-03 4,185

政策金利は6か国の月次データ(2000年1月〜2026年9月)。

合成は5分足のタイムスタンプが一致する本のみを使い、その日の最後の値を日足終値としています。

ビッド同士の割り算なので厳密な仲値ではありません。 合成値は既知の水準と照合済みです(南アランド円2020年4月の安値5.63円、トルコリラ円2018年8月13日の16.13円など)。

定義

必要だった年利(単利)

r = (開始レート − 終了レート) ÷ (期間中の平均レート × 年数)

建玉数量を固定し、スワップは受け取って出金する形。分母が平均レートなのは、スワップの受取額が建玉の円価値に比例するためです。

複利版(ln(開始÷終了)÷年数)だとトルコリラ円は17.7%になりますが、記事はすべて単利です。

100万円の損益

為替損益 = (終了レート − 開始レート) ÷ 開始レート
スワップ = Σ(その日のレート × その月の金利差 ÷ 252) ÷ 開始レート

レバレッジ1倍、複利なし。スワップは毎営業日ぶんを積み上げています。「平均レート×平均金利差」で概算すると、トルコリラ円のようにレートが下がるほど金利が上がる通貨で過大になります(実測38.0%に対し概算40.2%)。

ロスカット:含み損が証拠金の100%に達した時点(レバレッジn倍なら1/nの逆行)。追証は考慮していません。スワップの扱いは業者によって、日々口座に反映される建値変更方式と決済まで建玉に紐づく建値維持方式があるため、算入した場合としない場合の両方を出しています。

積立:100万円を60回に分け、毎月末に購入。5年後の評価額とスワップ受取の合計です。

ローリング:買付日を1営業日ずつずらして全パターン計算。5年保有ならトルコリラ円で2,889通り、ドル円で4,065通りです。

数字を読むときの前提

金利差は政策金利の差です。 業者はここからマージンを抜くので、実際の受取はこれより少なくなります。この記事の数字は一番よく見積もった場合です。

買付日は大きく重なっています。 5月31日開始と6月1日開始では期間の99.9%が同じです。重ならない区間で数えると、トルコリラ円の5年は3.3個ぶんしかありません。「どの日に買っても駄目だった」は起点の網羅性の話であって、独立した試行を2,889回積み上げた結果ではありません。

期間の切り方で符号が変わります。 南アランド円の必要だった年利は、最大期間で+4.53%、2012年以降で-0.18%。

この恣意性を避けるため、記事はローリングを主にしています。なお前半(2006〜2012年)と後半(2012〜2026年)で分けると、ドル円は+6.87%と-4.53%。ドル円が良かったのは通貨の性質ではなく、この20年で円安が進んだ結果です。

「必要だった年利」で積立を評価すると誤解します。

トルコリラ円は一括12.7%に対し積立18.7%と悪化して見えますが、積立は平均建玉が小さいぶん分母が縮むためです。金額で見ると積立のほうが良いので、記事では金額で書いています。

欠損

  • ドル円の2026年8月28日・8月31日(元エクスポートの末端)
  • USDZARとUSDMXNの2011年(有効日数103日・102日。他の年は259〜260日)
  • USDTRYの2011年8月以前は5分足ではなく1時間足相当。日足終値としては使えるため採用
  • 政策金利はトルコの2002年1月以前

限界

  • 5通貨のみ。うち3つは合成レート
  • 将来については何も述べていません
  • スワップの実額は計算していません(データが存在しないため)
  • スプレッドの相対負担は、業者の実際の提示スプレッドではなく合成値と仮定値です
  • 「水準が下がると下落率が鈍るか」は、3円台のデータが実質3年分しかなく判定できていません

時刻の取り扱い

サーバー時間から日本時間への変換は、米雇用統計のスパイク位置から実測しています。

ブローカーが2014年6月21日にサーバー時間を1時間変更しているため、固定オフセットでは変換できません。全銘柄が同じサーバークロックであることは、週の開始・終了時刻が一致することで確認済みです。

本文の全数値の内訳(年別・保有期間別・レバレッジ別など)は、下記のCSVに入れています。

集計データ一括ダウンロード

生データ

集計に使ったデータを公開します。

ファイル 内容
sw_daily_close.csv 5通貨の日足終値(20年分)
C1_rate_diff.csv 月次の政策金利差
D1_total_return_5y.csv 100万円を5年持った場合の損益
A3_rolling.csv 保有期間別の必要だった年利
A5_survival.csv レバレッジ別・保有期間別の生存率
B1_dca_5y.csv 積立の計算結果
A4_drawdowns.csv 上位5ドローダウンと回復日数
A2_all_periods.csv 4通りの期間で計算した必要年利
C2_rolling5y_detail.csv 買付日ごとの金利差と必要だった年利
B3_days_to_flip.csv 騰落率をプラスにするのに必要な除外日数
README.md 定義・合成手順・注意点

記事では触れていませんが、「金利差から必要だった年利を引いた残り」も計算しています。どの通貨も+2〜5ポイントで、金利の高さとほぼ無関係でした。

トルコリラ円の年別の内訳、スプレッドの相対負担、保有期間別の生存率など、本文で要約した数字の元データもすべて含まれています。

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