【ジブリの呪い】を真面目に20年分のデータで検証したら正体が分かった

金曜ロードショーでジブリが放送されると、相場が荒れる(ドル円暴落)ーー。

トレーダー界隈で有名な都市伝説です。

もともとはインターネッツでキャッキャしてた完全なネタでしたが、2013年頃にウォール・ストリート・ジャーナルに取り上げられて一気に広まりました。

で、コレ実際どうなのか(・∀・) < ワタシキニナリマス

てことでドル円の20年分(2006年2月〜2026年8月)データと、金曜ロードショーのジブリ放映137回を突き合わせて調べてみました。

先に言っておくと、(データ的に)呪いは存在していた!!

ただ、流石にジブリ=乱高下だとオカルトすぎるので、犯人が誰なのかを見ていく回です。

疑わしいものから色々見ていきましょう…。

そもそも通説で言われている数字がバラバラすぎる

色々検証する前に、この”呪い”がどういうものなのか?
インターネッツでどう語られているかを調べたら、出てくる数字が全然違いました。

以下はすべて「下落すると言われてる割合」です。

出典 主張している下落率
A 2010年以降11回中10回で 91%
B 49回中27回で 55%
C 約 6〜7割
D 55%程度でほぼ50%。偶然の範囲

同じアノマリーで91%と50%が並んでいます。

期間の取り方も「下落」の定義もバラバラで、誰も同じものを測っていない…(´Д`)

そもそも通説自体が「荒れる」と「下がる」の2つを言っていて、しかも混ぜて語られています。
この2つは別物なので、今回はちゃんと分けて測ります。

  • 荒れたか → 金ロー放送枠(21:00〜22:54)の値幅
  • 下がったか → 同じ枠の始値と終値の差

雇用統計は「放送中」に発表されている

勘のいい読者さんは嫌いだよすでにお気づきかもしれませんが、検証を始めてすぐ、嫌な事実に気づきました。

“金曜”ロードショー…。

金曜といえばビッグイベント米雇用統計の発表。

そして発表時間は現地の8:30 → 日本時間だとこうなります。

発表時刻(日本時間) 放送開始からの経過
米夏時間(4〜10月) 21:30 30分後
米冬時間(11〜3月) 22:30 90分後

金曜ロードショーの枠は21:00〜22:54。
どちらの季節でも、映画の放送中に発表されます。

しかもジブリは夏の放送が圧倒的に多いので(多分夏休み子供向け)、実際はほとんどが21:30。

トトロが始まって30分後に世界最大級の経済指標が出ているわけです。

なんか犯人バレてるミステリー小説みたいになってますが、さらに数字を見ていきましょう。

データは”呪い”自体の存在を示した

放送枠(21:00〜22:54)の値幅を、次の4つの条件に分けて見てみました。

条件 回数 平均値幅 通常の金曜との比
ジブリ × 雇用統計 37 74.5pips 2.00倍
ジブリのみ 99 38.7pips 1.04倍
雇用統計のみ 208 71.0pips 1.90倍
どちらもなし 726 37.3pips 1.00倍

呪いの日は、放送中に普段の2倍動いていました。
37回で2.00倍。統計的にも文句なしです。

パヤオの呪いは気のせいではありませんでした(´ー`)

ただし、正体はどう見ても雇用統計だった

問題は残りの2行です。

ジブリだけの日は1.04倍。 99回分あって、通常の金曜と1%しか違いません。
(・∀・) < 誤差です。

雇用統計だけの日は1.90倍。 ジブリが放送されていなくても勝手に荒れています。

  • 呪いの日:2.00倍
  • 雇用統計の効果:1.90倍
  • ジブリの効果:0.10倍

2.00倍のうち1.90倍は雇用統計が作っています。

映画が始まって30分後に世界最大級の指標が出ているので、当然といえば当然です。

犯人は雇用統計。

ジブリは同じ金曜の夜に、たまたま印象に残る・複数回放送・キャッチーな感じ、とかで勝手に呪いの主犯とされてたみたいですね。

すまんパヤオ….(´ー`)
てことで事件は解決……のはずでした。

それでも、ジブリの日は下げてはいたーー

念のため下落方向も見ておくか、くらいの気持ちで集計したら、ちょっとしたサプライズが。

条件 下落した割合 平均値幅
ジブリ × 雇用統計(呪いの日) 54.1% -11.8pips
ジブリのみ 62.6% -8.4pips
雇用統計のみ 40.9% +5.7pips
どちらもなし(通常の金曜) 46.6% +1.1pips

まず、相場が荒れる”呪いの日”に下げている割合いが54.1%。

下げる確率、通常とほぼ変わらないくないかい?
通説では「91%が下落」みたいなものもあったけど、データは全然下げてはいないんよね(´ー`)

次に、雇用統計の日のみで見ると下げ率40.9%で、平均+5.7pips。
下げるどころか上げています。

雇用統計は荒れ相場を作っていた犯人ですが、ジブリの呪いで下落(暴落)って説の犯人からはかけ離れていました。

じゃあなんで暴落・ドル円下げとか言われるのか??

荒れ具合は微妙だったけど、ジブリだけの日が62.6%の下落率。
99回中62回。

通常の金曜より16ポイント高いので「荒れはしないのに、確かに下げてはいる。」

ここまでの推理(?)を整理すると

荒れる 下げる
雇用統計 犯人 シロ(むしろ上げる)
ジブリ シロ 犯人?

ということで荒れる犯人と、下げる犯人が別々にいました。

偶然ではないのか?の検証

ジブリは夏に集中するので、季節の偏りが何かしら作用していることをまず疑いました。
(20年間の)放送月は8月が28回、7月が19回、1月が14回。

同じ月構成になるよう重みをつけて通常の金曜を集計し直すと、期待される下落率は47.2%。

実測62.6%との差は15ポイント残ります。
季節では説明できない下落ですね・∀・

コレに関しては色々見ても理由はわかりませんでした。

ジブリを見ている人がポジションを畳んでいる、という説明は面白いですが、為替を動かす規模とは思えない。

真犯人は、まだ捕まっていないのかもしれませんーー。

足跡の画像

おまけ:ジブリ作品別ランキング

完全にネタです。
1作品あたり5〜11回しかないので統計的には何も言えないのを承知の上見てください(´ー`)

荒れた作品ランキング(放送枠での値幅)

順位 作品 回数 平均値幅
1 ハウルの動く城 9 78.2pips
2 借りぐらしのアリエッティ 5 59.9pips
3 紅の豚 8 59.8pips
4 ゲド戦記 5 54.9pips
4 風の谷のナウシカ 9 54.9pips
…
12 となりのトトロ 11 38.0pips
13 崖の上のポニョ 7 37.5pips
14 火垂るの墓 6 34.4pips

ハウルが圧倒的。
トトロの2倍以上。

そして最も穏やかだったのは火垂るの墓でした。

どうでもいいけどトトロって絶対11回以上放送してる気がする…・∀・

下落率ランキング

作品 回数 下落率
魔女の宅急便 9 88.9%
となりのトトロ 11 72.7%
ハウルの動く城 9 66.7%
風の谷のナウシカ 9 66.7%
火垂るの墓 6 66.7%

魔女の宅急便が9回中8回で下落。

さっきの下落を引き起こしていた犯人は、もしかしたらキキかもしれません。
(n=9なのでコイン投げでも起こる範囲ですが。)

おまけ2:バルスの瞬間には何も起きていない

あれだけ人が同時に画面を見ているなら、相場にも何かあるのでは?

てことでついでに見てみました(´ー`)

バルスは概ね22:40〜22:50頃。
ラピュタ放映日9回分を5分ごとに見てみました。

時刻 ラピュタ放映日 通常の金曜
22:40 7.67pips 8.78pips
22:45 9.87pips 8.91pips
22:50 9.61pips 8.10pips

うーん、何も起きていません。
日本中が一斉に「バルス」と打ち込んでいる瞬間、ドル円は平常運転でした。

週明けはどうか

「週明けの相場も荒れる」とも言われるので、翌営業日の月曜も見ました。

ジブリ翌営業日は30.5pips、通常の月曜は27.8pips。

差は2.7pipsで有意ではありません(p=0.380)。

週明けでも特に確認できませんでした。

ジブリのアノマリー検証まとめ

主張 結果
ジブリ×雇用統計の日は荒れる ○ 2.00倍。実在する
それはジブリのせいか × ジブリ単独は1.04倍。正体は雇用統計
91%の確率で下落する × 実測54.1%
週明けも荒れる × 有意差なし
バルスの瞬間に何か起きる(おまけ) × 平常運転
(新発見)ジブリだけの日は一応下げる △ 62.6%。季節では説明できないが理由は不明

呪われていたのはジブリではなく、第1金曜でした。

そして皮肉なことに、呪いがないはずの「ジブリだけの日」のほうがドル円は落ちていた。
こちらは理由がわからないので、引き続き追いかけます。

次にジブリが放送される金曜は、カレンダーで第1金曜かどうか確認してみてください。

第1金曜なら荒れる確率が高いでしょう…ジブリのせいではありませんが(・∀・)

検証条件

ここからはマニアックゾーンです。
システムや検証に興味がないなら特に見なくてもいいかも。

—-

ドル円の5分足20年分(2006年2月〜2026年8月)を日本時間に正規化して集計しています。

判定は「前半10年と後半10年で同方向」「ベースラインを上回る」を条件としています。

なおMT5のサーバー時間は夏冬で1時間動くうえ、2014年6月21日にブローカーが1時間変更しているため、固定オフセットでは日本時間に変換できません。

この記事は放送時刻という分単位の精度が必要な検証なので、ここを誤ると結論が丸ごと変わります。 雇用統計のスパイク位置から実測して特定しています。

→ データの仕様、時刻の取り扱い、判定基準の詳細はこちら(このサイトの検証方法について)

この記事固有の定義

ジブリ放映日(137回)

  • 地上波全国ネット「金曜ロードショー」枠での放送のみ
  • 深夜枠『映画天国』、BS日テレ『日曜ロードショー』、NHK、地方局の遅れネットは除外
  • スタジオポノック作品(メアリと魔女の花など)はジブリ作品ではないため除外
  • 2011年7月15日の『ゲド戦記』『海がきこえる』2本立ては1件として計上
  • 放映日は複数のアーカイブサイトを突合して作成。全件が金曜であることを確認済み

雇用統計日

第1金曜を雇用統計日としました。
実データ上のボラティリティスパイク位置(夏時間21:30 / 冬時間22:30)で妥当性を確認しています。

集計範囲

金曜ロードショーの放送枠である日本時間21:00〜22:54に限定。
この枠は2006年以降変わっていません(2008年9月までは本編開始が21:03でしたが、3分の差なので影響はありません)。

限界と注意点

  • 検証対象はドル円のみです。通説は日経平均にも言及していますが、株価は扱っていません
  • 作品別の集計は1作品あたり3〜11回で、統計的な判定はできません。ネタとしてご覧ください
  • 「ジブリだけの日の下落」は理由が特定できていません。今後追加検証します
  • 過去の統計的傾向であり、将来の再現を保証するものではありません

生データ

検証に使用したデータをCSVで公開しています。
記事中の数字はすべてここから再計算できます。

ファイル 内容
全金曜の記録(1,070日) 放送枠21:00〜22:54の四本値・値幅・騰落/ジブリフラグ/作品名/雇用統計日フラグ
集計サマリー 4分割の集計(記事中の全数値)
作品別集計 3回以上放送された作品
ジブリ放映日リスト 137件の日付と作品名

→ 検証データ一式をダウンロード(ZIP / CSV 4ファイル)

放映日リストに誤りを見つけた方は教えてください。修正して再集計します。

本記事の数値は2026年9月時点のものです。

集計環境について

データの集計・統計処理には Python を使用し、コードの作成とレビューには Claude(Anthropic)を利用しています。

検証項目の選定、条件の設計、結果の解釈は筆者が行いました。

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